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2006年2月27日 (月)

こういう映画が見たかった

いや~久々に面白い映画を(地上波で)見たので書く気になりました。(^^)最近例の民○党騒ぎといいオリンピックの不調といい、スッキリしない話が多かったけど、今日はスッキリしたぞ。…つっても。私が面白がる映画の話だから期待しないよーに。

そう…「ハムナプトラ」(今頃!)。レイダースの焼き直しかグロ物か、と思って劇場には見に行かなかったのだけど、いやぁこんなに面白いなら見に行けば良かった。まず、のっけから登場人物全ての性格が破綻。ヒーローはやさぐれの傭兵、ヒロインは破壊癖のある図書館員、その兄は山師。で、呪いの墓の財宝への欲に憑かれた監獄の署長(?)と共に史上最悪のパーティを組んで遺跡へ赴き、これもアメリカ人のパーティと競争したあげく(主人公イギリス人だからね)、「復活すると魔王となって世界を滅ぼす」という神官をキッチリ起こしてしまう。全ての災いの元凶はお前らだー!と言いたいようないーかげんな連中が大暴れ。いーねー(^^)。まず初盤でヒロインが大ドジをして、図書室に並んだでっけー本棚を都合20個くらい、それは見事にドミノ倒しするシーンに惚れた。あれはCGではない。あんな…あんなおバカなシーンを撮るために、一体どれ程の労力が払われた事か。NG出たら全部立て直し? こういう。こういうバカさ加減が私は欲しかった。

多分この映画、アメリカでは酷評されていたと思うが、まー当たり前だろう。(映画の中で2,3回、「アメリ○人てバカだから…、あ、ごめんなさい」「いや、バカだって」とか平気で言ってるし。自虐なのか?)でもな。第1次大戦直後の時代設定とか、周囲のキャラクターの行動原理や動機付けなんか、シナリオ構成はほんと、お手本と言っていいほどきっちり作ってあるのよね。その癖、世界が滅びるかミイラに食われるか、という瀬戸際まで、随所でギャグのくすぐりを入れてくるこのテンポ。イギリス風だ。全てを真面目にきっちり作りながら、しれっと全てぶっ壊す快感。正直、最近は「主人公が死んでかわいそう」つーだけの映画が多く(失礼)、私は辟易して映画はほとんど見なくなっていたのだが、「そーだ、映画ってこういうエンターテーメントだったんだ」と改めて思い出させてくれたよ。人間はいずれ亡くなる。それは万人平等だ。だから、それさえ言っていれば人間を描いた事になると思うのは、逆に傲慢ではないのか。どう生きるかが問題なんだ。死ぬかもしれない寸前までギャグを放つ、という精神は、実はすごく崇高な哲学かもしれないのだ。

構成力がないから心象風景。設定が無いから豪華CG。人間像が描けないから悲劇で泣かせる。…そーゆーものはもういらない。まず普通の「しっかりした物語」を作ってくれ。その後初めて、「それを壊して面白い」と感じるんじゃーないか。…とか考えて、結局私が「名画」と思えるのは、いまだに黄金時代のああいう映画だけなんだな。と気付いた。「サイコ」「シャレード」「スティング」「博士の異常な愛情」…このへん。どんなに映画技術が発達しても、この頃の作品を超える映画は今でも1本もない。と私は思っている。自分が書くものに関しても色々悩んだけど、私にとって原点とすべき世界はやっぱしこういう世界なんだろうな。

それにしても、墓の遺跡を守る組織のあんちゃんカッコ良かったなあ…((^^)じる)

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