いまごろゲド戦記
ついに。やっと。見て来ましたゲド戦記。(^^)ネットでは相当不評らしいですが。いやぁ、私は宮崎父の作品よりずっと感情移入したなあ。いくたが「こんなんメジャーなロードショウでやれるんだ、だったら私だってめじゃあかも(^^)」とか思ってしまうようないい作品でしたね。(注・知らない方へ。このブログの作者はいくたまきという…まーやや特殊な漫画描きです)
ゲド戦記は原作読んでないから何とも言えないが、おそらくそれとは別物なんだろう。(原作はゲドの若い頃が主軸らしい)だがまー、知らないからそれは置いといて、このアニメに話を絞る。
宮崎息子氏の作品であって、父のではないが、絵柄やキャラ配置、デザイン、動きなんかは基本的にそっくりだ。なのに同じような絵で、今まで宮崎アニメで決して描かれなかった、人間の暗黒面がしっかり描かれている。「ハヤオお父さんと同じような作品」を期待した人にはショックだったろう。特に「父」の作品では、悪役が悪さをするだけで、町の民衆は大体みんな善人。なのにこの作品は庶民がとっても根性悪い!(^^)ただのオバハンが特に憎たらしい!(^^)(^^)でも、そーなんだよ。国が衰退して人心の荒れた町に、善人が大量にウロついてる筈がない。動きも、コナンやルパンみたいな不条理な超人技を使う事がなく、現実の人間がやれる範疇に収まっている。魔法も大量には出て来ない。そういうリアルさが、気に入らない人には「面白くなさ」に見えるんだろう。でも、
これは「宮崎アニメ」を築いた人とは別の人の作品なんだよね。同じものを期待するべきではない。(ついでに、グィンの原作も期待すべきではない)むしろ、のっけの「父殺し」のテーマに、「善人ばかりの王国の崩壊」という、根深い主張が込められている気がする。家族が殺し合い、責任ある人間が不正や淫行で日夜アゲられてる時代にですよ。無理矢理「不治の病」やら「戦争の悲劇」やら、「死んだ筈なのに会いたくて帰って来る家族愛」の話ばかり作り、「さー感動しましょう。これで感動しないならあなたはオニ」なんて言う方が余程不健全だ。今の現実は、このゲド戦記の設定の時代とほぼ同じなのよ。特殊な悪者ではなく、普通のミンシューが闇に支配され、社会が乱れ自然も荒れてるのよ。自分と無関係な誰かのラブストーリーや、変なホームドラマより、私には全然身近に思えたわ。
死への恐怖と不安に、可愛いアニメ顔が歪む。私は「宮崎絵」のキャラが「顔に深い皺を刻んで苦悩する」所を初めて見た。そして、凶状持ちの主人公だとゆーのに「宮崎絵」のキャラで初めてカッコ良く見えたのだった。この作者がこれからどういう方向に進まれるのか、私は非常に興味がある。善人ばかりが登場し、大して善人ではない筈の観客が「まー私もこういう明るくて優しい人なのよ」と思い込む物語…それは客を甘やかしてるだけではないか。それで許せる時代もあったけど、取り合えず今現在の日本では許せない。今は、自らの足元の暗黒と戦うべき時代だ。特にこの国は。
と、ゆーよーな事を考えさせる映画なので。(^^)お子様連れで見るのはお薦めしません。映画の宣伝やりにくかったろうなあ… ヒロインも、アニメオタク受けしそうな可愛いトコ全然ないしなあ… だから私はこのヒロイン大好きです。(^^)
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