トロイ「ア」と呼んで
テレビ放映していた「トロイ」見ました。いや、実はオーランド・ブルームが見たかったんだけど(^^)、結局カッコ良かったのは、というかほとんど主人公だったのは、ブラッド・ピットのアキレスでしたね。ブラピさんはこの映画のためにわざわざ体を鍛えたそうである。だからすごいムキムキ。せっかくのオーランド・ブルームのパリスなのに、でもって有名な「絶世の美女との禁断のロマンス」の物語なのに、この主役のロマンスの影が薄いこと薄いこと。その上逃げ腰の弱っちい男に描かれてるし。物語は主に、アキレスと、彼が捕虜にした巫女のブリュセイス(トロイの王子たちのいとこ、という設定になっている。神話では平民じゃなかったかな?)とのロマンスが中心だ。…としか受け取れなかったぞ。恋はしても全くラブストーリーに向かない、戦闘だけが人生の不器用な男を好演してました。アキレスとアガメムノンの確執、親友(これもいとこって設定だったな)のパトロクロスの身代わり、ヘクトルとの対決や、その遺体を馬車で引きずる所など、神話の中のエピソードも要所要所で生かされている。ただ。ヘレン(「ヘレネ」と言ってよ。西川きよしさんの奥さんみたいじゃん(T^T))は最後パリス達と無事に逃げちゃうし、全く別物な部分も多くある。根本的に違うだろーと思うのは…神話のトロイア(私はトロイでなく「トロイア」と呼びたい)戦争は、最低でも10年以上は掛かってる筈なのね。映画の感覚だと、1ヶ月以内に片が付いてる感じ。まあ美少女も10年経っちゃったらおばさんになりますから。(^^;)
「波のように押し寄せる軍勢」という言葉はよくあるが、ほんとーにうん万くらいの兵士がわらわらと波のように動いていたシーンはかなり見応えがあった。軍船もうん百隻海に浮いてたし。どこまでが実物で、どこまでがCGか全く分からない。(CGだよね…)槍と剣と弓矢と盾だけの、肉弾戦の戦闘シーンもしっかりと作られている。確かに、これだけの物量は本物のセットやエキストラだけでは映像化は不可能だろう。リアルなCG使って大失敗した映画も多くあるが、トロイは成功した使用例だなと思った。
ただ、神話時代を題材にしてる割に神話的な部分が全くなく、完全な生身の人間の愛憎劇になってるので、映像がスペクタクルな割には世界観にスペクタクルがない感じはする。これは最近の映画に共通の特徴だろう。愛や家族を守る戦いに共感する事はあっても、国家や神のために命を懸ける人間には、もう今時の人は感情移入しないだろうから。神話ではアキレス(アキレウス)は神様の血を引いてるし、戦争の引き金のヘレン自体が女神である。大体戦争全般において、ギリシアの神々が裏で糸を引いている。だから、そういう要素を全部すっ飛ばすと、なるほどこういう人間関係だったのね、というのが良く分かる構成になってるとも言える。まあ史実ははっきりとは分からないが、「女房寝取られ」は開戦の口実で、当時商業都市として莫大な富を蓄えていたトロイアと、ギリシア連合国家の野望と確執が裏にあった…という辺りがトロイア戦争の社会背景の真実ではないかと思われる。ともあれ、しっかり作ってあって気持ち良く見られた映画ではあった。それにしてもアキレス目立ち過ぎですが。
ただねー。最近のテレビ版の劇場映画って、最後突然終わってしまうのな。長いからなのかも知れないが、エンドロールも役者やアテレコ声優の名前もなんもなし。急に「世界の車窓から」とか言われてしまって。次の映画の番宣だけは途中でどんどん入れてた癖になー。昔はちゃんと、淀長さんや水野さんの映画解説が入り、いい音楽と共に役者の名前が出て…余韻ってもんがあったぞ…
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