WITをよろしく その1
ずっと作曲をしている。頭の中では、物心ついた時から。譜面(スコア)を書こうとあがいて、「結局、楽器や演奏者がなければ、曲になってるかどうかさっぱり分からん」事に気付いて挫折したのが中学~高校。上京してビンボーしていた頃は、音楽なんて夢のまた夢なので、曲に歌詞を付けて(そうするとメロディが記憶できるから)小汚いノートに綿々と書き綴っていた。作曲家になろうとも、なれるとも思わなかった。何よりも音楽を勉強できる経済レベルではなく、そういう世界には縁もなく、曲を作りたいなんつー話を聞いてくれる人もいなかった。大体、メロディは浮かぶものの、自分でも何のジャンルだか全く分からない。歌謡曲でなし、ポップと言うには重すぎ、クラシックにしては軽すぎ、ロックほどノリも良くない。自分ではいい曲だと思うが、こんなジャンル不明なもの、どこの誰に聴かせりゃいいのか。そうして年月は過ぎた。
結婚して、パソコンを使える有り難い境遇になった。私が難しいパソコンを(パソコンヲタ達に笑われながら)必死で覚えたのも、ほとんど音楽が作りたかったからである。楽器もなく、演奏もできない人間もパソコンなら助けてくれる。早速音楽ソフトを買った。…その当時はMIDIもなくFM音源ボードで、ペラペラのつまらない音しか出ない上、スコアが3段しか書けなかった。(T^T)違う…そーじゃなくてぇ。ようやくローランドのMIDIと作曲ソフトを手に入れたのが98時代。スコア16段。大抵のオーケストラ楽器も使える。ああ、ようやく頭の中にあった音が、どんな曲だったのか確かめられる! こうして、その時から延々と譜面を書き続けてきた。出来た曲は無理矢理録音し、(MDに外部録音した後、再びパソコンで録音して処理(^^) 1台ではこうするしかない)データを焼き付けて「アルバム」を作った。…知っている限りの、ほとんどの人間は全く興味を示さなかった。アルバム製作開始から、始めの年に12曲、その後は毎年10曲ずつ作り続け、去年アルバムは7枚目となった。お誘いメールを貰ったので、音楽サイトにもブログを作り、(「「いくたまヒルズ」である)もっと多くの人に聴いてもらおうと頑張った。多少は聴いてくれる人もいるようだが…多少である。感想もたまにしか来ない。
譜面にしてきたのは、学生時代から下宿時代まで、メモって溜め続けてきた「過去の曲」である。全くの我流、独学だが、数をこなせば何とかなるの法則で、「らしきもの」にする技術は多少長けてきた。しかしこうして譜面を書いていた期間、「頭の中の新しい曲」はほとんど作れなくなっていた。私のなけなしの「サイノー」も、ここらで頭打ちか。歌詞メモノートには80曲以上のストックがあるが、ろくでもないのも混じっている。それに、さすがに少々飽きてきた。誰もあまり反応してくれんし。もちろん他人に聴かせるのは初めてだとしても、過去の曲だけに何かが変化して、発展する訳でもないし。何か全然別のものが作ってみたくなった。出来れば、「何々の曲を作ってます」と、ちゃんと人に説明できるもの。でも、もう何も浮かばない… そして、
好きな楽器の音色を使い、何も考えず、いいと思う流れで音符を置く、という事をやり始めた。「じゃず」だろうか。じゃずと言ったら本物のジャズの人に笑われる。…しかし、こうして架空バンド「WIT」は生まれた。
《つづく》
| 固定リンク
「音楽」カテゴリの記事
- WITをよろしく その2(2007.05.13)
- WITをよろしく その1(2007.05.13)
- 観音開きのステレオ(2006.11.04)
- どーすんだいブログ2つも(2005.11.17)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント