それでもガンバが勝つ。
大変ローカルで恐縮ですが。千葉テレビで今時、「ガンバの冒険」の再放送が始まった。(^^)私は日本一のアニメの名作だと思っている。(注・これ以降、「ガンバ」を知らない人にはほぼ訳の分からない記事になります)
うん十年を経て見ても、やっぱりいいもんはいいねえ。しかし、この時代からいわゆる「アニメ」はどれ程変わってしまった事か。ガンバの世界は、たとえ「悪魔のノロイと戦う」という重い課題を負っていても、元気で明るい。正義感があって情にもろくてドジで、仲間もいいやつら。こういう、昔の「普通の主人公タイプ」の世界って、最近はとんと見なくなった。正義とか友情とか口に出すのはオロカ、みたいな、ねじ曲がった感性の世の中になっちまった。…とか思いながら放送を見てて、ふと「あの当時ほどノロイを恐く感じない」事に気が付いた。もちろん自分が大人になったせいもあるが、それだけではない。よく考えたら、今時流行る物って全て、ガンバより余程ノロイに近いんじゃないのか?
ガンバ達はネズミだが、人間味に溢れている。それと対照的に描かれるノロイは悪、というより「冷酷と残酷の権化」だ。無抵抗でも命乞いをしても、ノロイはただ「ネズミを殺すのが楽しいから」彼らを襲う。だから決して許してくれない。こういう「悪」が存在する事に、かつては慄然としたものだ。しかし、今時起きる犯罪や事件って…大した動機も意味もないし…ノロイそっくりじゃないの。ノロイの手下達は「神」であるノロイの言いなりだ。弱い立場の者を見かけると、「あいつらを殺れ シャー」とか言ってノロイが指を指す。すると寄ってたかって一斉に襲う。ホームレスの人とか苛めやすそうな相手とか。ただ面白いから…うわあ嫌だ。同じだ。○ヴァとかアレとかコレを見て育った子供に、「ガンバのどこが面白かったー?」とか聞いたらどう言うんだろう。中に無表情な奴がいて、ポツっと「イタチがネズミを殺してる所が面白かった…後は別に」とか言いそう。すごく言いそう。私の誤解と偏見ならいいんだが。
ガンバが戦った敵はノロイではなく、こういう「冷酷と残酷」そのものではなかったのか。すごく強引で牽強付会だが、あるいはこういう時代が来る事を予感して、最後に人間性(ネズミなのに…)が勝利する事を証明する為に命を懸けたのではなかったか。なのに、人間の世界はこんなんなっちまった。もはやノロイに洗脳されつつあるも同然。ごめんねガンバ。人間たちはこの先、少しは人間に戻れるだろうか。私は「知名度のあるノロイよりも無名のガンバたれ」と思って頑張ろう。せめてこの作品を知っていた世代として。少なくとも彼らは、どう考えても勝てっこない敵に挑んで勝ったのだから。
ちなみに。「ガンバのリメイク」だけは死んでも作らないで欲しい。心からの願いである。猫娘を「萌え」に改造し、魔王ダンテをシスコンにさせるような今時のアニメ関係者には手も触れないで欲しいのだ。まあキャラがネズミで「売れ線」ではないから、とは思うけど分かんないもんな。「キラキラ可愛い萌え潮路さん」なんて描いたら…祟ってやる… 大体、あの「雑なようでしっかり質感のある、味のある画風」を真似できる作家なんてもういるものか。CGみたいなツルツルした綺麗な世界ならガンバではない。「落ちたら痛い。物は壊れたら戻らない。死んだら終わりだから生きねばならない」という当たり前の現実さえ、今の創作者は描く力がないのだ。そういう方は何度でもデータコピーできる美少女でも夢見て、そのまま別の世界にいて下さい。
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