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2007年12月16日 (日)

不都合な人類

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071215-00000097-mai-int

「不都合な真実」の無料上映会に行ってきた。町で行う環境問題啓発運動みたいな企画の一環なので、大学の先生の講義と、バイオマス製品を作るエコ会社の商品ディスプレイ付き。いや別に映画だけ見ればいい…とは言わず色々見ました。その頃、バリ島では見苦しいすったもんだの末、「COP13」という世界環境会議が終了していた。…ロードマップってなにそれ。そりゃ、渋ってたアメリカや中国を参加させ、一歩踏み出したには違いないだろうけど。「オレのせいじゃねーよ。先進国がカネ出せよ」「いやうちもサブプライムだし、排出量まで言われたら困るしぃ」「そーそーボスの言う通りでんがな」「うちはまだビンボなので火焚きまくるアルネ」とかもめまくった挙句、「じゃー地球が危ない、とみんなでニンシキしましょうね!」「うんニンシキニンシキ。」…で閉会かよ。国家代表なんて、みんなアホか圧力団体のシモベなのか。宇宙人さん、悪い地球人をやっつけに来て下さーい!

ゴアさんも、実は自宅が電力を大量消費してたとかで(^^)今突付かれているし、彼のキャンペーンは大統領選でブッシュに負けた当てつけ(あの選挙も怪しかったけどなあ)だと受け取る向きもあるだろう。でも、この映画「不都合な真実」ではゴアさんがなぜ環境問題をテーマにし始めたか、という個人的な生い立ちや、アメリカ社会で環境学者がどういう妨害を受けるかという裏話も随所で語られるのが興味深い。一つ確かなのは、ゴアさんは政治家として有権者にウケるため環境問題に手を出したのではなく、そもそも学生時代に恩師に未来の深刻な環境危機を教えられ、それを解決しようと政治家になった、という事だ。科学的な環境映画でもあるが、「ゴアさんの講演会」という形の構成を取っており、アニメまで混ぜ、「そんなのカンケーネー」と言ってる庶民に実感を持って分かり易く伝えようと腐心してるかが良く分かる。これ程地球の大破壊は切迫しているのに、なんでこれ程世界中緊迫感がなく、「そんな事より自国の利益」「私の年金」くらいしかモノを考えないのかと。…それはねゴアさん。大半の人類の知恵は、自分の財布と食事と職場とイロに関係ない事には働かないからです。異常気象を引き起こしといて、助けてくれなければ「政府が悪い」では、愚かな地球人類が滅んでも宇宙は同情しないだろう。

環境問題は、昔から私もよく考えているので詳しくは書かない。自分で調べよう。ただ、映画のキモとして語られるポイントは(これも本当は有名だからネタバレにはならん)、南極大陸の氷が溶けると北極と違って海面が5~6m上昇する。アメリカ他の先進国主要都市はみな沈む。オランダと千葉は跡形もない。そして、かつて美しい氷河や氷雪がウリだったアルプスやキリマンジャロ、ロシア、アイスランドなどは今は氷が溶け、無残に変化した醜い茶色の地面を晒している。たとえ即座に全世界がCO2を出さなくなったとしても…もう戻りはしない所まで来てるのだ。という事。それなのに実情は環境保護とは超逆、CO2や比例する平均気温のグラフは近年「横線からいきなり縦線っ」になっている。誰にも明日の権力や利益なんて残りはしないだろう。地球が無ければ年金もない。人類はどうしてこう、思ったとおり馬鹿なのだろう。

いきなりぐあっと右端が上がるグラフ。こういう方程式で、「数量が無限大になった時何が起きるか」というような事をテーマにしたSFが昔あったけど(星野之宣だったかな(^^))、色々不都合な無限大が現実に差し迫ってる気がする。今更何が出来るのかは分からないが、最後の最後に「オレの利益がっ」「いや私の都合がっ」しか言わないで滅んでいく程みっともない生物に、どうか人類がならないように願っている。

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コメント

私も最近にこの映画を見ました。これで人類が完全に絶滅するとも思いませんが、どの程度まで悲惨になったところで目が覚めるでしょうか。長生きして見届けたいものです。

投稿: 志村建世 | 2007年12月17日 (月) 11時37分

志村先生・
そうですね、出来れば目覚めて欲しいです。ただ、人類が滅びかけるとしても、平等に公平には滅ばないでしょう。一部の人間が生き残るためにひどい事をやり始め、その弊害で滅亡が早まる…という可能性の方が恐ろしいかも。

投稿: いくたまき | 2007年12月18日 (火) 00時41分

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