うちのねんきん特別隊
わが義母に、ついに来たねんきん特別便。なんか、年金給付がまだの人は返送でいいが、既に年金受け取ってる人は社保庁まで出向かないといけないらしい。なんやそれ。受け取ってる人の方がより高齢だから、遠い事務所まで行くのはより困難じゃないの。何やっても「実情」てのが見えてない役所だな。しかし行くしかない。義母「やまくん母」(縮めて「やま母」)を連れ、家族3人で行って来た。
やま母は伊賀上野在住である。社会保険事務所は津にある。車で片道1時間。正直、「すごく混んで待たされるだろうな。今日には終わらないかも」と思ってたのに、意外にも30分ほどで受付に辿り着いた。それほど人一杯ではないのだ。やま母の場合、役場で入金した筈の国民年金の記録が2年分抜けていた。それを訴えたら、何故かそれではなく、「短期間勤めた2社分の厚生年金の記録が抜けてる」と言われた。やま母75歳。50年以上前にこういう名の会社に勤めてた?と聞いても「覚えてない、忘れた」。そりゃそーだよな。でも、息子と2人掛りであーでもない、こーでもないと記憶を掘り返したら、一社分の「本人の記憶」は回復した。もう一社は…なんか会社の近辺に住んでた記憶がある、というだけなのだが「まず間違いないでしょう」とこちらも認定された。思い掛けなく、記憶の奥底に埋もれた年金が回復した訳である。でも、肝心の国民年金の方はデータがないから、と渋い顔をされた。この2年分は、やま母が元気な頃、遠い村役場まで歩いて収めに行った年金なので本人の記憶は一番確かのなのである。でも記録がない。これも20年前の話なので領収書も何もない。記憶に無いものが復活し、記憶してるものが還らないこの不条理。多分無理だろうと言われながらも、確認のため年金を納めた村役場へと引き返す。
役場で応対してくれたのは若い女性職員。絶対20年前の事なんか知らない年頃。聞いたら、十何年前かの合併の時、全ての年金記録は社保庁に渡したんだそうである。で、「古い帳票は捨てていいよー」という事なので捨てたと。その時、この役場のデータは社保庁がちゃんと(^^)把握して管理(^^)した筈だと。んな事言われてもねーー。してたら今頃こんな騒ぎになってる訳ないんで。一応「こういう筈」という書類は書いて渡した。役場から社保庁へ問い合わせ、返事が来たら知らせてくれるという事だが、見込みは薄そうだ。当時の職員がポッポナイナイしてたらこの世の誰も記録してるまい。
なんかねー。消えた年金記録を全て復活するのは、事実上不可能だという事が良く分かった。社保庁のミスなのに国民に出向かすとは何事だ、そっちから来い!…というのは理屈だが、現実あの疲れ切った僅かな職員達が、車で数時間の家まで含め、全加入者を回るなんて出来っこない。それに、実は年金の消された大半の人がすでに疲れ、あきらめ、あるいは本当にどーでもいいと思って、いちいち記録回復の為に動かないだろうと思うのである。今日の社保庁の混まなさ具合は偶然かも知れないが、始めの特別便の時大半の該当者が「問題なし」と書いて葉書を返送したこと、うちの75歳が「遠方まで移動し、昔の事を思い出しただけで疲れ切って寝込んだ」(注・もう起きたよ)ことを考えても、「政府と社保庁はけしからん!」と怒る事は怒るが、だからって自力で何とかしようとする程の情熱を人はもはや持ってない気がするのだ。社保庁がデタラメで年金加入者にやる気がなかったら、マスゾエ一人が必死になってもどうにもならん。
人間の記憶はいい加減である。人生の楽しかった時代は、それがたとえ数年でも鮮明に覚えてるが、不本意で不幸だった時代は数十年間でもろくに記憶に無かったりする。あの頃は仕事も充実し、稼いだ分しっかり収めたのだから絶対記録は取り返せ!と自信たっぷりに言える事もあるが、あの頃は雑な仕事してたのに不当に給料貰い、天引きされてただけだから、そんな記録無かった事にしていいですよ…と弱気になる事もある。中には複雑な事情で、当時の記録が判明したら困る人間だっているだろう。でも、そういう個人的な記憶のムラに関係なく、正確に金勘定して受け取るべき額を配分するのが役所の仕事だ。その「正確な筈の」役所がデタラメで、いい加減な国民に正常化を頼んだって無理に決まってるのだ。そういう難しい事が分からんから役所に頼んでたんだろ!…という話。でも、現実に社保庁行ってみて思ったのは、「それでも出来る努力はしといた方がいい」という事だった。思い掛けない落し物があるかも知れない。最近「自分史」を書く人が多いと言うけど、人生って長く生きると結構忘れてる事が多そうだ。それを社保庁が知ってて自分が知らないのは悔しいんじゃない。
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