あるいは闇の終わり
あー…今の若者はミヤザキ事件を知らないのか。死刑囚がようやっと裁きを受けた。悲しいかな、私は震撼した当時の事をよく覚えてる。(- -)たまたまこの異常な犯人が漫画やビデオをたくさん持ってたお陰で、それ以来漫画やアニメ関係者は物すごく肩身が狭くなったから。この事件以降、オタクはただそれだけで犯罪者予備軍のように誤解されたり、白眼視されるようになったのだ。確かに、それ以前もコア過ぎて不気味な人間はいたし、冗談抜きで危なそうな人間もいた。でもそんなの世間にだって一定の確率でいるだろう。基本マニアはマニアに過ぎない。浅いの深いの、元気なの暗いの色んなタイプがいる。なのに「オタク」という言葉で全てがくくられ、特別なニュアンスや意味付けの色眼鏡で見られるようになったのは、まさにこの「ミヤザキ事件」が元凶だったのだ。こいつと、図に乗った偽評論家連中のせい。漫画やアニメは一種の「被差別階級」にまで落とされた。…落とされたんだよ。持ち上げられたんじゃないの。今まで「漫画やアニメが流行ってる」と言われてたのは一種の大嘘。「アキバ」「コミケ」といった、特殊なゲットーの中に追いやられ、見世物にされてただけさ。
元々、自分にない知識を持ってたり、自分の描けないレベルの絵を描く人間を嫉妬してる連中がいた。屁理屈を述べる以外芸の無い人間が。そういう奴らが、とある異常者の事件を契機にしてここぞとばかりに「そうら、漫画アニメ関係者は特殊なのだ。異常なのだ」と定義し、追い詰めて行った。追い詰められる様を20年間ニタニタ眺めていた。私は、当時「闇の最先端」にいて被害を被った当人だから、何があったか一端くらいは知っている。今「某ちゃんねる」に巣食ってドロドロ溜まってる悪の根源もこういう連中の系統だ。自分はアタマガイイと信じ、善や希望を否定するのがカッコいいと思い込み、他人を中傷するフレーズを作り出す事だけが得意な連中。何も知らん世代がそういうクソにネットで洗脳され、扇動されている様を、私がどれ程の思いで眺めてたか分かるまい。漫画もアニメも「普通の物」だったんだよ。というか本来そうなの。最近再放送やDVDを見てるんだけど、昔の漫画やアニメは暗かったですか? かつて美少女=エロなんて発想がありましたか? ガンバに正義が無かったですか? 「フェードイン」や「パイルダーオン」で燃えませんでしたか? 侍ジャイアンツはバカでも男の友情じゃなかったですか?
許し難い死刑囚がつつがなく死刑になった。良かった良かった。なのに、「死刑が多過ぎる」だの「アキバ事件の見せしめだろう」だの…一部マスコミや政治家は、この当たり前の出来事にまで文句を付けている。多分死刑囚達の味方なのだろう。同じような心情を抱いてるんだろう。(^^)としか思えん。これまで「死刑が確定してるのにいつまでも執行されなかった」事の方が余程異常なんだよ。法治国家なんだから。たとえば冤罪の可能性があり、長年主張して戦ってる人間なんかは別に考えるべきだろうが、法務大臣はそういう曖昧な事案はちゃんと執行を避けている。何の問題もない。死刑がイヤならどうすればいいと思ってるのか。問題があるというならちゃんと対案を述べるべきだ。殺人して何の反省もない人種を無期でそのうち釈放し、社会に放逐すべきとでも言うのか? それとも終身禁固にして、国民の税金で食わせ、年取ったら保険料も払わないのに無償で介護してやれと言いたいのか? 対案も出せない癖に批判だけする卑怯さはどっかの党と変わりない。
ミヤザキ事件のせいで、「心の闇」という言葉が使われるようになった。…実は私は、その定義は嘘だと思っている。こういう無差別殺人に走る奴は、不気味は不気味だが「心の闇」なんて高尚なものは持っておらず、単に「心が空っぽ」なのだと思う。持ってれば、専門家が分析すれば「どういう理由でこういう犯行に走ったのか」しっかり分析できる筈だから。むしろ、自分が何を考えているのかすら分からないのだ。事件を起せば、誰か偉い人に「この人にはこういう不幸や苦しみがあったんですねー」とか分析してもらえてステキかも、自分は凄いと思えるかも…その辺が本音なのだ。あれだけ「模倣犯」が出るのを見れば一目瞭然じゃないか。どんなバカでも真似出来るって。「心の闇!」「彼の人生に一体何が!」なんて報道が騒げば騒ぐだけ、そういうバカは大喜びするって事が分からないのか。…分からんだろうな。マスコミも同レベルだもの。
ともあれ、被害に遭った可哀そうな女の子たち程ではないにしろ、私もこいつのせいで苦しめられた人間の一人ではある。だからこの、つつがなくスピーディな(…20年でスピーディですか)死刑執行を歓迎する。秋葉原も追悼の町になった。もう「社会現象」の一言で無法を許す無責任の時代、狂気のごとき偏見と陰湿の時代は終わらねばならない。明るい話題ではないが、彼の死刑執行で一つの闇が消えた。これが闇の終わりの始まりだ。そう信じよう。
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