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2008年8月23日 (土)

そして戦犯は誰だ

大騒ぎの北京オリンピックも、やっと明日閉会式。(^^)悲喜こもごもお疲れ様でした。…実は、開催中は決して言うまいと思ってた事が色々溜まってた。もう大丈夫だろうから書こうと思って。…一言で言うと「マスコミが持ち上げた選手はダメになる!気を付けろ!」…である。

別に悪口ではない。今回の結果は、正直こんな事になるんじゃないかという不吉な予感があったのだ。だが、無残なほど「そのとーり」になってしまった。考えてみよう。開催前にチヤホヤ騒がれてた選手や選手団は誰? 星○ジャパンに反○ジャパン。オグなんとかペア、ママ金さん、ビーチバレーの妖精。卓球少女に女子マラソン。女子重量挙げ。…まずママ金さんがコケ、男子柔道もダメダメ、重量挙げは遠く及ばず、男子サッカーが一勝もなく大恥。ビーチバレーは「あったっけ」状態。卓球はあんなもんだ。そして、衝撃の故障まみれ女子マラソン。トドメは星○ジャパンの撃沈だ。およそCMに出まくってた選手の大半はメディアから消滅した。…その間、救ってくれた競技は何だったか。キタジマの見事な泳ぎやなでしこの奮闘、そして何よりソフトボール金の感動。今まで日本人選手が参加してる事さえ知らなかったフェンシングの銀も良かった。男子体操の銀は…才能はあるようだけどまだまだ若い、という感じ。でも可能性を感じさせてくれた。漁夫の利で銅を取ったように見える男子リレーも、実はバトンの受け渡しをかなり練習してたそうで、ちゃんと陰の努力を怠ってなかった。絶対勝てないと思われた競技でも、投げたりせず真剣に勝とうとする、その心根が良いと思うので私は「漁夫の利」とは呼ばない。ほら、結果を出した選手はみんな、これまで報道にハナも引っ掛けられなかったヒトばっか。ソフトボールなんか「なでしこ」だの「フェアリー」だのという美名さえ付いてない。…キタジマは有名だったって?

でも、思い出してみよう。キタジマさんがしょっちゅうテレビに映ったのは何の話題で?…そう。あの「レーザーレーサー」関連。ほぼそれだけだった。論点も「これを着れば勝てるのに、着られるのかどうか!」それだけ。選手の努力や想いなんか追った事はほぼなかった。それは、「お前はコレ着れば勝てるかも知れないけど、そーでなきゃ見込みないよ」と言ってるのと変わらない。世界のキタジマに対してそこまで無礼だったのだ。「水着が泳ぐ訳じゃないんで」と切り替えした台詞に、こういう事でしか騒がないマスコミへの怒りがこもってる気がした。でも「そうですね、報道の方向性が悪いですね」と反省したメディアなどもちろんない。これからだって反省はしないだろう。どこかの有名ペアが負け、別のペアが中国1位に勝った時、「ニューヒロイン!」と呼んでいきなり鞍替えし、変な略称まで付け、そのペアもメダル圏内でなくなったらまた忘れた…あれはさすがにテレビ見ててムカムカした。たとえ敗北したって、これまで散々ネタにして儲けてたのは業界だろお。恩なんてカケラも知らない連中なんだから。

世界のスポーツレベルは全体にとても上がっている。もう、幸運や勢いで金が取れる(事もある)時代は二度と来ないだろう。見事な結果を出した金メダリストはみんな、真実実力があって頭一つ人より飛び出ている。キタジマの泳ぎが飛び出ていたように。3冠の人が欽ちゃん走りでも勝てるように。日本のいい結果は「実は実力があった」のだし、ダメな結果は…人気があっても元々その程度だったのだ。「勝ちに不思議な勝ち有り、負けに不思議な負け無し」といういいコトワザがある。その通り、ちゃんと等分の結果になっただけだ。日本野球の惨敗の責任は、無論星○監督が問われるんだろうけど、私の感覚だと、そんなこんなで戦犯の罪の重さは ①マスコミ ②日本の視聴者 ③監督 だな。…そう。日本人全体にも責任がある。だってオリンピック始まるまで、日本が野球で「惨敗するかも」と思って真剣に心配してた人ほとんどいなかったじゃん。規格の違うオリンピックに対する練習方法は?とか、寄せ集めチームの構成やチームワークは?とか。こういう実質的な問題はあまり考えもせず、その頃日本人の野球関連で一番大きな話題は…例の「プロ野球選手とアナウンサーが五反田のラブホ!」だったのだぞー。(^^)このてーどの真剣さで。シーズン中の片手間で。プロで高給取りだから、となめきった精神で試合した国が。本気で世界一になろうと4年間訓練した国に勝ったら、それはもう正義じゃない。負けて正解だったのだ。

今回、新たにヒーロー、ヒロインとなった選手が多くいるだろう。CMの依頼やゲストで呼ばれまくり、一躍有名になるだろう。チヤホヤもされるだろう。でも、この北京オリンピック後「堕ちて行く先輩」がもしいたら、その人達の末路をしっかり見ていて欲しいのだ。その人達はかつて、あなた以上にチヤホヤされた人達だ。そしてマスコミにおだてられて足元を見失ったら、それがあなた自身の未来になるのだ。この国は個人的に才能のある選手やコーチが存在しても、公の機関は大抵、それを潰すようにしか働かない「能無し」である。乗せられないで欲しい。本当に自分の為になる人としっかり協力して、自分の未来を落とさないで欲しい。ヘラヘラした女レポーターなんかが寄ってきた時、「悪いけど練習の邪魔ですから」と冷たい目でキッパリ断わって去っていく…アスリートはそれでもいいと私は思うぞ。芸人じゃないんだから。

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