雲の狐の嫁入り
連れ合いのやまくんの、子供の頃の不思議体験。
ある時、晴れなのに雨がパラついてきた。近所で遊んでいた子供たちは空を見上げた。
「こういうの、狐の嫁入りって言うんだぜ」
すると、やま少年は空の一角に奇妙な雲があるのが目に入った。それはなんと「狐」にそっくりだったのだ。しかも四足でなく、頭が狐、体が人間のような形。その上一体ではなかった。先頭に「旦那狐」、次に「花嫁狐」らしきのが続き、その後ろにはご丁寧に、お供の狐らしい小さい雲がずらずらと並んでいるのだ。なるほど、あれが狐の嫁入りか…と、少年だったやまくんは素直に納得した。周囲にいた子供たちもみんな同じ物を目撃していたので、錯覚や思い込み、妄想のたぐいではないという。雲なんて普通はあっという間に形が崩れるものだが、この「狐雲」は不思議と長いことそのまま出現していた。だが目撃者は子供、いつまでもそんな物を眺めている訳はなく、やがて飽きた彼らは遊びに戻っていった。だから狐雲がその後どうなったのかは誰も知らない。
やま少年が「それってちょっと不思議なんじゃないか」と気付いたのは、もう少し大きくなってからだった。
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