たまご爆笑の謎。
小学生の頃。一人っ子で退屈だった私は、とある友達の家にいつも遊びに行っていた。
外で元気に走り回らず、家の中で遊ぶ事も多かった。幼稚園の頃から「将来漫画家になる!」と豪語していた私は、とにかくお絵描きが好きで、その時も友だちと一緒に塗り絵か何かをしていた。同じ色鉛筆セットを使って。相手が使ってる色は遠慮し、交互に仲良く塗ってたと思う。色鉛筆セットには16色、24色など様々なグレードがあるが、その時は当時贅沢品だった「36色」を使っていた。これには普通入ってない珍しい色があって、子供はそれだけで嬉しくて仕方がない。たとえば「たまごいろ」とか。
友だちが言った。「ちょっと、そのたまごいろ取って」
たまごいろってどれだっけ…とっさに分からなかった私は、色鉛筆をより分け始めた。すぐ渡すつもりだったのに時間が掛かる。間がもたない。仕方なく、タイムラグを埋めるために歌い始めた。
私「♪たまご たーまーごー たまたぁーまぁ たまぁ~ごー はーたーまごよいよい」
節は…まー志村けんの「東村山音頭」と「会津磐梯山」を混ぜたような。無論デタラメである。そしたら、突然友だちがすさまじく爆笑し始めた。お腹を折って。大声でのたうち回って。私はしばらく何が起きたのか分からなかった。
私「どーしたの?」
友「あんた…そんなおかしい事言っといて、自分でおかしくないの??」
私は、よーやく彼女が「たまご音頭」でウケたのだと気付いた。無意識だったし、ただ「たまご」に節を付けただけなんだが、思い返すと確かにおかしい気がする。その上彼女の爆笑に巻き込まれる。私も笑い出した。ひーひー苦しくなるほど笑った。…いや、笑ってる場合ではない、とお互い気付き、冷静になってまたお絵描きを始めようとした。が…突然また彼女が笑い出す。ツボにはまったというか、どっかが破れたというか。…また冷静になる。またしばらくすると爆笑。そんな事を繰り返し、結局2時間たっぷり二人はひたすら笑っていた。
人生であれほど笑った事はなかったし、この先もないと思う。楽しかったというより、マジで腹筋が苦しくて健康の危機を感じた。…その後、家にこもって他人とお絵描きする事はあまりなくなったように思う。恐いのや悲しいのもイヤだが、人間笑い過ぎるのも危ないんだな、という事を学んだ1日だった。
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