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2011年2月24日 (木)

北海道の超人。

えー…これは新婚旅行の時の話である。しんこん。(^^)ロマンチックでラブラブ…そんな映像を思い浮かべてはいけない。大体、結婚式が式場の都合で10月の終わりになった。いつかというと、つまりハロウィンの近辺だ。式後の写真はお化けカボチャに魔女の帽子に両刃斧。…どっこもめでたくない。(^^;)まーそれはともかく、旅行にだけは行こうという事になった。秋も終わり、冬に差し掛かるこの11月にどこに行くべきか?…ふつーは暖かい所とか、紅葉の綺麗な場所とか考えますよね。しかし新郎やまくんが提案したのは「東北・北海道海産物食べまくりツアー」…だった。そう、海の幸がうまいのは何たって冬。しかも北の親潮に洗われたものでなければならない!…という訳で、我々はこのクソ寒いのに車で東北自動車道を縦断し、当時はまだあった青函連絡船で北海道に渡り、名曲「落陽」にあやかって苫小牧発仙台行きフェリーで本州に帰る…という、まるで耐寒レースのような旅に出る事になったのだ。(T^T)車に乗ってさえすりゃー幸せ、というやまくんの本性の恐さが、この時はまだ私も良く分かってなかった。

まあ冬の北国も情緒があるし、途中の宿で食った海産物もそれなりにうまかったが…目的地の北海道は札幌に着いたら季節はもう酷寒。時計台見て赤レンガ見て外人墓地見て…ただ寒い。しかもまだ雪がない。秋と冬の観光シーズンのちょうど隙間、実は最も客の少ない季節だったのだ。(- -;)外をウロウロしてる人間は少ない。ロープウェイもあったけど止まっていた。…それでも根性で朝市とか、後に噴火するあたりの近辺とか、まあ車で移動出来る範囲を見て回った。最後は苫小牧である。…崖。海を臨む高台。カーブしたガードレールの向こうに冬の景観が広がっている。何を間違ったのか、ちょっと降りてみようという話になった。

降りた直後に、凍て付いた北の海風がびうー!びぅうー!と吹きまくった。うああー寒いー!海を眺めてロマンどころの騒ぎじゃない! コートを必死で押さえながら、我々は早々に引き上げる事にした。「こりゃーダメだ」「こんな所に10分もいたら凍死しちゃうよね」…その時。1人の男が我々に近付いて来るのが見えた。こんな人家もない、車でなければ誰も通らないような道を一体誰が?

それは、ランニングシャツに短パン姿のマラソンおやじだった。…我々と同じ寒風の中にいるのである。その筈である。しかし彼はそんな薄着で顔色一つ変えず、「寒いよ」みたいなアクションも取らず…全く当然のような顔をしてタッタッタと走って近付き…タッタッタと通り過ぎて行った。しばし呆然と見送る。「北海道人すげえ…」「いや、誰もがあんなじゃないでしょ」「いやいや、北海道人はみんなこの程度の寒さには慣れてるのかも知れない」

それが北海道の平均なのかどうか確かめる暇もないまま…そう長い休みも取れない我々は仙台行きフェリーに乗り込み、帰路に付いたのだった。この程度の寒さで音を上げる自分のふがいなさに立ち向かうため、私はフェリーの上で海風にさらされながら、ハーモニカで拓郎の「落陽」をひたすら吹きまくった。(- -)

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