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2011年2月 7日 (月)

クモ布の夢。

子供の頃、子供向けに易しい文章で書かれた「世界名作文学全集」みたいなセットがあった。母親が本好きなので揃えてくれたようだ。…でも全作に感動出来た(^^)訳ではなく、私は主に「西遊記」ばっかり読み返していた。確かそのシリーズに収録されてたと思うんだが、「緑の館」という話があってね。これはイギリスのウィリアム・ハドソンという作家の小説で、オードリー・ヘップバーン主演で映画化もされてるそうだ。ただしWikiに「ヘップバーンの数少ない失敗作」とまで書かれてるから…映画の方はまーいいとして。(^^)

ストーリーは、ある青年が南米の森で妖精のような少女に出会うロマンス。彼女は事情があって人間世界から離れ、大自然と一体になって暮らしている。調べたら最後は悲劇になるらしいが、子供の頃の記憶からはロマンスもアクションもラストも抜け落ちている。私が覚えていたのは、鳥のような声で小鳥と会話し、樹上を飛び歩く可愛いターザン(^^)みたいなイメージだけだ。「わー私もやってみたい」という意味で。実は…自作品「プロフェッサーに告ぐ」のリィという登場人物のイメージもこれが根源だったりする。でもまあ、それも置いといて。この話のどこがそんなに気に入ったかと言うと、実は彼女の「服」だった。…確か、キラキラと虹色に輝く不思議な布で織られていて、主人公はその材質が分からない。仲良くなってから、彼女は主人公に服の生地を作る所を見せてくれる。小さなクモを手に乗せ、その糸を指でクチャクチャしたら、そこにキラキラ輝く丸い部分が出来ていた…というのだ。つまり彼女の服はクモの糸で出来ていたのである。今考えると「そんなん絶対無理じゃん」と思うのだが、なんせ子供。その辺のクモの糸で布が作れると思い込んだ。これは絶対作りたいと思った。

それ以来。私はクモの巣を見ると、「取り合えず指でつまんでクチャクチャ織ってみる」ようになった。せっかく苦労して綺麗に巣を張ったクモからしたらいい迷惑である。…おかしい。ちっとも織れない。まず、布のように平面状にくっ付ける事ができないのだ。でも不可能とは思えない。いわゆる「クモの巣型」に張られた糸はどーにもならないが、庭木などにはよくレースのような、白い布状のクモの巣が葉と葉の間に掛けられていたからだ。あーいうのを作りたいのだ。…しかし、庭木の「布状のクモの糸」は大抵ゴミだらけで、そのまま布には出来そうにない。大体、取ったら固まりになっちゃってうまく採取できない。子供なので特に気の利いた道具も持ってないから、Uの字に曲がったまま枯れた葉っぱなんかで「布状クモの糸」の綺麗な部分をそーっとすくい取り、重ねる…とか色々やってみた。だめだ。何故なんだ。…そうか、あの小説の舞台はジャングルだから、クモもこんな日本のとは種類が違って、糸が丈夫なのかも知れない。それとも、あの女の子の「クモの糸を織る指の動かし方」に秘密があるのかも。クモの糸を織るのはいわゆる職人技で、私のような素人には会得できないのかも。つっても教えてくれる人いないしなあ… とか、子供の私はクモの巣の塊を前に悩んでいた。 

まあ結論としては挫折した(^^)わけだが、しばらくは綺麗に張られたクモの巣を見るといじりたくて仕方なかった。こんなのはファンタジー、科学知識の未熟な昔の小説によくある大ぼらに過ぎない…成長してからはそう思うようになった。ところが、これが違った。実は現在、最先端バイオ技術を駆使して「クモの糸で布を作る」という研究が実際になされているらしいのだ。とあるサイトによると、クモの糸は鉄よりも強く、太さ5マイクロメートルで数グラムを吊り下げられる。これを直径1cmにするとジェット機さえ下げられるという。ほんとかー!(^^)やっぱりクモ糸すげえ。そのうち夢の「クモの糸の服」が市販されるかも知れない。

ただ…バイオ技術だ、強度だ、採算だという話になると、あの「少女が指を器用に動かして織っていたクモの布」のイメージではなくなるなー、とは思うのだ。技術が完成し、クモの服が売られても、それはきっと「光によってキラキラ色を変える、ジャングルの魔法の衣装」ではないだろう。それでも、市販されたら絶対1着は買ってしまうだろうな。

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