レコードプレイヤー・速度計円盤
CDの時代になり、ちまたからレコードプレイヤーは一度絶滅した。…のに、今復活してるんだよな。しかもレコードのアナログ音源をデジタルに変換し、録音まで出来ちゃう優れもの。私も聞けなくなって久しいレコードを随分持ってるんだ。そのうち是非欲しい。(^^)…ただ、長年湿気っぽい押入れの中にぎゅう詰めされていたようなレコードが、いまだひん曲がらずプレイに耐えられるかどーかが分からない。ボコボコ曲がったレコードって、掛けると斜面の登りでは曲が遅くなり、下りでは速くなるって知ってましたか。(^^)重力加速度の法則に従っちゃうんだね。
中学くらいから、私は親にもらった小型のレコードプレイヤーを大事に使い続けていた。親も誰かから貰ったんだと思う。買った記憶がない。…取っ手が付いていて、蓋を閉めるとケースのようになり、持ち運びに便利。シングルレコード向きのサイズだったが、プレイヤーから思いっ切りはみ出させてギリギリLPも聞けた。当時好きだったアニメの主題歌や、はまっていたカーペンターズのヒット曲集、ホルストの「惑星」なんかもみんなこれで聞いた。時にはテープ録音にも使った。レコードを掛け、カセットの録音スイッチを押し、あとはひたすら息を殺して曲が終わるのを待つ。ライン入力なんて出来ないし、その頃はオーディオ機器にそんな便利な機能がある事すら知らなかった。
回転数の切り替えはダイヤルで行う。しかし…アバウトな機械なので、長い間聞いていると回転速度が狂って来るらしいのだ。そういう微妙な速度を手動で調節するダイヤルが別に付いていた。でも、今聞いている曲のスピードが正常より速いのか遅いのか、どのくらい調節すればいいのか、なんて曲を聞いただけでは分からない。それを計るために付いていたのが「速度計円盤」である。…つっても、ほんとの名称ではないだろう。何て呼ぶのか知らないので仮にこう呼んでるだけだ。ただの、ドーナツ盤サイズの丸い紙っぺらである。表面に、何周も細かいストライプの円が印刷されている。…何て表現すればいいかな。梯子のようにだんだらになった黒白ストライプのテープを思い浮かべて欲しい。それをぐるーっと円周に沿って貼ったような感じ。ただ、黒白の梯子線は円周に対して直角でなくやや斜めに傾いている。角度は周によってまちまち。これが外周、少し中、その中…と内側の穴に向かって続いている。…見てると目がグルグルしてくるような模様だ。
速度を調節したい時、この円盤をプレイヤーで回す。すると、目の錯覚で黒白ストライプが見えなくなり、代わりにややオレンジがかった別の縞模様が、円の中をゆっくり回転してるように見えてくるのだ。…目が模様を認識し、残像が消えるまでのタイムラグでこういう現象が起きるらしい。子供向けの科学実験なんかで似た円盤を回してるのを見た事がある。しかし、なんでレコード聞くのに目の実験をせねばならんのか?…そう。この「幻のオレンジの縞」がピタッと止まっているように見えた時、回転速度は正しくなっている、というのだ。縞が流れて見える時は速度は狂っている。調節ダイヤルをゆっくり動かすと、この縞の流れが後退したり、逆に速まったりする。ピッタリ止まる点を探すのである。ちなみにストライプが何重もあるのは、「一番外側の周はLPの速度調節用」「中ほどはドーナツ盤用」…と分けられているため。LPが33 1/3回転、ドーナツ盤が45回転だ。「SP盤」の78回転までセット出来た。さすがにSP盤を聞いた事はなかったが。
何という…アナログの極致だろう。(^^)微細な速度を、機械に頼らず人間の網膜で計測するんだから。そういう所を含め、私はこのプレイヤーが大好きだった。漫画家になろうと上京した時だって持って行った。でも…CD全盛時代を待つ事すらなく、プレイヤーは壊れて二度と鳴らなくなった。針が飛んだとかそーいうのではない。突然スピーカーが「ボン」という音と共に煙を噴き上げ、爆発したのだ。(- -;)…あまりに長年使い過ぎてオーバーヒートしたのか。まさか爆発で最期を遂げるとは思ってもみなかった。コンピュータのない時代、機械は人力と一体になって初めて動くものだったよな。そんな不自由さがどこか懐かしかったりする。
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