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2011年2月28日 (月)

フリッパーとわんぱく中高年。

すげー小さい頃、アメリカのTVドラマ「わんぱくフリッパー」が大流行した。…ドラマはほとんど覚えてないが、とにかく「イルカが活躍する話」である。イルカかわいー。イルカかしこい。子供にも大人気だった筈だ。やがて、「わんぱくフリッパーのおもちゃ」が発売された。おフロに浮かべると泳ぐのである。潮まで吹く。それは、初めての「電動・水物おもちゃ」の一般販売だった。こ、これは子供としては欲しい!買ってー!…買ってくれなかった。(^^)高かったし、よく考えたら風呂付きの家に住んだのはもっと後だった気がする。銭湯に持ち込むのもあまり良くない。小奇麗なバスルーム、おもちゃを使って楽しく遊ぶ子供のCMは、私の境遇よりビミョーにランクが上だった。

その後、お風呂おもちゃの流れで「スイスイかっぱ河太郎」というのが発売される。胴長短足の体型に長い腕。この腕を振り回し、なんと河太郎はクロールする。(^^)でんぐり返すと背泳ぎする。(^^)陸に上げると…忘れたけどやっぱり腕で移動する。やまくんに聞くと、男の子としてはこっちの方がハイテクに見えて良かったそうだ。ただ、私目線だと…カッパですからね。フリッパーの可愛さにはとーてー及ばない。それでも、フリッパーを買ってもらえなかった代償にこれもすごく欲しかった。…買ってくれなかった。「お風呂は遊ぶ場所じゃありません」というのが親の考えだったと思う。そりゃそーだけど。銭湯で、ポンプを握ってかえるをぴょんぴょん飛ばせている子供さえうらやましかった。

でもまあ女の子なので。(^^)その後は特に水物にはこだわらずに成長したが…男の子はそこから水中モーターに走ったりしたようだ。調べたらフリッパーのおもちゃの数年前にマブチモーターが発売されている。フリッパー放映自体はその1年前だから、「これから水物がくる!」という読みがあった…のかどうかは分からない。以降はやまくんから聞いた話だが、お金のない小さな子はいきなり水中モーターは買えず、まず「ゴム動力」に手を出した。継ぎ目のない単体成型の潜水艦。ゴム動力というのは…(^^)まあ大抵の人は分かると思うが、長いゴムをねじり、それが巻き戻る力でスクリューを回すもの。同じ原理で飛行機も飛ぶ。単純だが、これ初速だけは結構速いのね。でももちろん航続距離がアレなので(^^)、少し大きくなってお小遣いが増えると本物の水中モーターを買う。…この先は、好きな人にはジョーシキだが、一般人は知らない範囲だ。

マブチモーターは非常な優れもので、単3電池1個なのにかなりのパワーを発揮する。赤と白のツートン(発売当初は青と白だったそうな)で、10センチくらいの魚雷のような形。電池を入れてひねればスクリューが回る。舵もあるので方向も付けられる。吸盤が付いていて、水に浮くものの下に貼り付ければ、ただそれだけで何でも水上を走るのだ。洗面器が走る。石鹸箱が走る。普通の船プラモも!…と言いたいが、これは水が漏れたらモーターの自重で沈むから走らない。(^^)ただ、発砲などの浮力材を詰めれば大きさによっては何とかなる。買ったやまくん大喜び。(^^)…しかし、彼より年長の子供はその頃は更にグレードの高い物を買っていた。ちゃんと専用のモーターの付いた、水上用の船プラモや自動浮沈潜水艦だ。ただ、これは組み立てる際にちゃんと稼動するよう配線したり、水密したりする必要があるので、技術的に高度になる。ともあれ、「水上・水中を走るおもちゃ」は、ある時代の男の子の夢とロマンだった。…しかし、今では子供の世界から絶滅しつつあり、フネ世代の一部中高年マニアがこの領域を支えている。なぜ?

…ったって原因は明白だろう。遊ぶ場所がないのだ。(^^;)フリッパーやカッパは泳げても、家風呂じゃ高性能な船を走らせるにはあまりにも狭い。銭湯は少なくなったし、あってもおもちゃの持ち込みは断られる。…その辺の池や川は? はっきり言って子供には危ない。大体池なんかで走らせても途中で止まったら回収できない。(^^)どよーんと濁った水の中に、苦心の潜水艦が沈んで二度と戻らぬ悲しさ。ミニ四駆のレース場のように「船おもちゃ専用のプール」でも作ってくれない限り、この世界の未来は険しいだろう。ちなみにマブチの水中モーターは1997年に一度発売中止になった。今は復刻したようだが…あまり出回ってない。金型を引き継いだ某社のモーターがよく使われるが、出力が違い過ぎるのね。(- -)マブチと競争させると、スポーツカーと軽くらいの勝負になってしまう。

まあキリがないのでここらで止めるが…「水物」自体は幻のアイテムではない。(^^)今もごく一部の人間が維持に頑張っているが、その世代がいなくなると消えて幻になる可能性は充分にある。…ところで。「わんぱくフリッパー」だが、実はやまくんは持っている。トイザらスのワゴンで300円だったそうだ。なぜー!お前は高価な幻じゃなかったのか!…まあ多分復刻版だけど。でも、その夏のワゴンにあっただけでもう見ないそうだから、フリッパーは再び幻の海の底深く~♪…消えたのかも知れない。

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