色分解転写シール
ちょっと調べてみたら、最近はインクジェットプリンタで手軽に「転写シール」が作れるらしい。何に使うのかと思ったら、タトゥー風のボディペインティング、ネイルアート、あとイタ車のキャラクターだって。普通にプラモその他おもちゃ用のデカールも作れるようだ。水に浮かせて剥がす物が多いが、こすって写すタイプもある。…こんなん自作できる時代になったんだなあ。タトゥーなんて使った事がないので知らないが、昔ながらのプラモのデカール(^^)なら仕様は大体分かる。…普通のシールと違い、もの凄く薄っぺらな、絵柄が印刷されたシールが台紙に乗っている。これを台紙を濡らせて浮かせ、貼りたい部分にそーっと移動させて水気を取り、乾かす。シールの裏には糊も付いてるが、むしろ物体とシールの間の空気を完全に抜く事で、真空の圧力を利用してしっかり固定する。
昔、お菓子のオマケなんかに「こするタイプ」の転写シールが付いている事があった。台紙は透明でやや丈夫なシート。これの裏に薄いシール本体が貼ってある。貼りたい部分に当て、丈夫なシートの面、つまり表面から強くこする。すると透明な台紙からシールが離れ、貼った物体の方に移って密着するというわけ。うっかり間違えて表でなく、シール本体の貼ってある裏面をこすれば、薄いシールは即座に破けて一巻の終わり。(^^)子供の頃面白がってよく貼ったが、なんせガキなので表裏を間違う事も多かった。こすり方にもコツが必要だ。こすってる最中は透明な台紙を固定し、絶対位置を動かしてはいけない。「ずるっ」とずれたりすると、つられて薄いシール本体がべろんとめくれたり、破れたり、折り曲がったりして台無しになる。必死で元に戻そうと試みるが、なんせ薄い物だから、一度傷付くと絶対状況回復出来ない。貼り付けた後も、その上をうっかり爪でこすったりしたらガリガリ削り取られてしまう。…子供には少々扱いの難しい物だった。そのせいか、オマケなどの範疇ではやがて転写シールは見なくなった。でも、丈夫な紙に普通に糊の付いた野暮ったい「分厚いシール」より、転写シールの方が難しい分、高級でスマートに見えたものだ。
そういう「オマケに付いて来た転写シール」で、忘れられない物がある。それが「色分解転写シール」。何のオマケだったかさっぱり覚えていないが、なんと一つの絵が赤、青、黄の三原色に分かれているのだ。1枚1枚を見るとただの赤、青、黄のまだら模様で、何が描いてあるのか分からない。これを3枚重ねると、綺麗なフルカラーの絵が現れる。確か南国の町の情景か何かだったと思う。色の美しさを見せるために選ばれた絵柄だろう。…貼る前に重ねても、この「混色の不思議」は良く分かった。色々組み合わせ、「わー重ねるとこーなるんだ!」と、子供心にいたく感動。私は一気に加法混色の原理を理解した。しかし、さあ実際にシールを貼ってみようという段になると…躊躇した。3枚をピッタリ重ねないといけない。ちょっとでもズレたら台無しになるのは分かっている。しかも転写シールに関して、私は何度も失敗した経験があった。(- -;)それに、こーやって3色に分かれるから凄いのであって、重ねて貼ってしまうともはや「普通のシール」にしか見えないではないか。そして子供の私は、何を考えたのかついに3色を別々の場所に貼ってしまったのだ。その一つは、確か冷蔵庫でお茶を冷やす「ピッチャー」に貼られていた。…そんな水洗いする物に剥がれ易いシールを貼らなくたって。単に面がツルツルで貼り易かったのだと思うが。何度もこすられ、もうガタガタのボロボロになった「黄色だけの絵」が、長い事ピッチャーに貼り付いてたのをおぼろげに覚えている。
たかがオマケなのに「3原色分解」のシールを作り、なおかつキャラクターや宣伝でなく「南国の町」の絵を選んだ…その本体の商品は一体何だったのだろう。今でも微妙に気に掛かる。そして、あの時の「赤と青だけならこう!」「赤と黄なら!」「青と黄なら!」「うわぁ重ねるとキレイ!」…という単純な感動を、もう一度味わってみたい気がするのである。
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