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2011年2月16日 (水)

お天気ワンちゃんの社会問題

昔…と言ってもいつか忘れた。まだ小学生の頃かな。うちに「お天気ワンちゃん」という人形があった。当時すごく流行ってたと思う。いわゆる首振り人形で、胴の上にでかい頭がバネで乗っかっていた。目は、角度によって絵が変わるやつで、ユラユラするとウインクするという趣向。…でもまあ形状は別に関係ないのだ。このワンちゃんの特徴はその体色にあった。人形の全身にはビロード地(今はベルベットと言うのか?)みたいなものが張ってあり、買って来た時は大体青だ。それが置いておくと、湿度の高い日にはピンクに変わる。つまり湿度計なのである。シリカゲルによく入ってた「青→ピンクの小粒」と同じ原理。ワンちゃんがピンクの日は雨が降りますヨ、という訳で「お天気ワンちゃん」なのだった。これ、最近見ないなあと思ってネットで調べたら、驚くべき事が分かった。…いや、驚かない人もいるだろうけど、まだ一般には知られてないと思う。これに使われている「塩化コバルト」が、発がん性があるというので規制され始めているらしいのだ。

塩化コバルトは、乾燥していると青、水分を含むとピンク(濃ければ赤)に変わる。ブツさえあれば、実験が簡単なので子供でも確かめられる。この性質を利用し、昔から湿度計代わりに使われていた。お天気ワンちゃんはすたれたかも知れないが、シリカゲルの中の青の小粒や、除湿剤の「表示がピンクに変わったらお取替え」みたいな目安表示は長いこと現役だった。これが今使えなくなってきている。発がん性がある、と言い出したのはEU。「指令」とゆーのが発せられたそうだ。「指令」は加盟国に「目的達成を求める」というくらいのもので、本来法的な規制でもないらしいが、影響力はかなりあるんだろう。事実、日本なんてEUじゃないのに業界は既に対応している。塩化コバルトを使わない色変わり湿度表示が開発されたり、そもそも湿度表示をやめたり。言われてみれば最近シリカゲルの中に青の粒が入ってない。でも、長年塩化コバルト含有の製品を作ってきた子会社なんかは、いきなり使用中止を言われて困惑してる風である。で、「規制される法的根拠があるのか」と聞くと…これが明確にはないらしいのだ。

ややこしい話になってしまうが。(- -;)まず「PRTR法」というのがある。これは各国にあり、日本でも1999年に法制化された。(Wiki調べ)PRTRは「特定化学物質の環境への何たらかたら」…という長い名称の略で、要は「危ない化学物質がどーなってるか調べるぞー」というだけの法である。調べなかったら罰があるが、使ったって罰はない。(変だね)で、塩化コバルトはこれの対象に挙げられている。…一方、EUの指令はRoHS指令とも言われ、EU加盟国にしか効力がない。ここでは鉛とか水銀とか、いかにも危ない物質6種類が明確に禁止されている。それは別にいいのだが、塩化コバルトはこの6種類には入ってない。ならなんで文句を言われるのかというと、それ以外の「危険物リスト」に入っており、発がん性は「カテゴリー2」…「すごくヤバくはないけど、結構ヤバい」くらいにランク付けされているから、らしい。でも、日本では含有量が低かったら一応「可」、の筈である。なのに自主的に使用をやめる所が増えている。ブラックリストにある以上、後で被害だ訴訟だ、という騒ぎが起こる前にやめた方がローリスク…という判断だろう。

でも昔、お天気ワンちゃんならさんざん触ったりして遊んだと思うし。シリカゲルのピンクになった玉をあぶって「わー青に戻った」なんて実験もやった事があるし。ほんとに危険なのか、今さら言われたってどうなのか、こちとらには実際の影響は分からない。触っただけでアウトか、なめたらアウトか、湿度が低い時と高い時で危険度は違うのか(つまり揮発したりするのか)、それも分からない。…ちなみに、うちのお天気ワンちゃんは年月が経つにつれ大体ピンクになっていた。雨でなくても。湿気は定着するし、良く考えたら洗面所かどこか水場に置かれていた気がする。…ダメじゃん。(- -;)こういう物は飽きて来ると邪魔にされるんだよな。そしてやがて黒カビが付き、汚くなったので捨てられた。…ような記憶がある。おぼろげに。あの頃無心に首を振っていたワンちゃんには、今環境問題やら法的問題の重ーい鎖が掛けられてしまっている。

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