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2011年2月23日 (水)

正統派怪談・やまくんと顔

連れ合いのやまくんは、多少「霊感」があるらしいが、滅多な事でそれを認めようとしない。変な物を感じても、極力「気のせいだ」で済ませようとする。色々と聞き出し、「いくら何でもそれは気のせいじゃないだろう」と突っ込んだら…こんな話をしてくれた。

やまくんは大阪の下町の生まれである。…そこは元々畑が連なり、タヌキの走り回る田舎だった。ある時「大阪万博」が開催される事になり、それに伴って新御堂筋線高架橋を建設する事になった。予定地はやまくんの住む町内のど真ん中。土地は買い上げられ、町内会は丸ごと移転するハメになったのである。…しかし立退き料はバッチリ支払われたので、住民はかなり綺麗になった新しい家に住む事ができ、特に苦情は出なかった。(^^)場所は元の町の目と鼻の先。やはり元は畑だった土地である。…まあ、そんな時代のお話。

その頃、やまくんの住む町内で「ヘビが出る」という騒ぎがあった。折りしも蒸し暑い夏場、町内会の倉庫に入ったおばさんが「ぎゃー!」と悲鳴を上げて駆け出して来る。炎天下の熱気を避けたいのか、巨大なヘビが暗い倉庫の中にとぐろを巻いて居座るようになったのだ。アオダイショウか何かで珍しい種類ではないらしいが、見掛けた子供の話によると「3~4mはあった」という。…まあ割引くとしても、2m以上ならかなり巨大である。そこは元々畑だった場所なので、住人は「土地の主じゃないか」と噂した。

で、その夏。やま少年はなぜか頻繁に「金縛り」に合っていた。ただ体が動かないだけで済む事もあったが、時には金縛りの最中に変な話し声が聞こえた。…その声は複数の人間がボソボソと会話しているような感じで、始めは部屋の外から聞こえてくる。やま少年が動けないまま聞いていると、やがて声はだんだん近付いて来る。もちろんそこには部屋の壁があるのだが、声はお構いなしに壁を通過して接近して来るのだ。…声はだんだん大きくなる。会話の内容はさっぱり分からない。やがてやま少年の頭の後ろにまで近接し、そこを通り抜け、声はそのまま反対側の壁の向こうへ抜けていく。…要するに通過していくだけらしい。恐い事は恐いが、特に実害はなかった。霊には通り道があるというから、この部屋がそれに当たっているのかも知れない、とやま少年は考えた。なんせ元は畑、後から家を建てたのは生きてる人間の都合である。

通り過ぎるだけなら良かったのだが。ある夜、やま少年はふっと目が覚めた。すると目の前に見知らぬ男の顔があったのだ。…首から下はなく顔だけ。至近距離。面前10センチ。あと一歩近付けばキス。(^^)うわぁあ!と驚き、やま少年はそのまま意識を失った。…というか、眠りに落ちた。聞く所によると、金縛りでオバケを見た後に「気絶する」という場合、いわゆる失神ではなく、そういう「突然眠りに落ちる」という状態になるらしい。余談でした。

そしてこの「顔事件」の後、やま少年は金縛りには合わなくなったという。ヘビとこの事件が関係があったのかどうかは不明だが、夏も過ぎ、それ以降大蛇の方も出る事はなかった。これは私の勝手な推測だが、何か人間でない物たちが、自分たちの通り道に居座った連中を「どれ、顔でも拝んでやるか」と覗きに来た…のかも知れない。

やまくんはこの話をした後、「なっ。だからあの顔は気のせい。夢だったんだよ」と締めくくった。…まあ、そんなもん見たら、気のせいか夢だと思いたくなる気持ちは良く分かった。(^^;)私だって「おっさんの顔が、もしそのままやまくんに覆い被さっていたら…」と思うと、すごく気のせいだと思いたくなるのである。

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