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2011年2月14日 (月)

バレンタイン無情。

あまり心温まらない話だから、書くか書かないか迷ったんだが。(- -)

中学くらいの頃。その時代はまだバレンタインデーが定着し始めた初期で、「義理チョコ」だの「友チョコ」だの浅い関係のプレゼントは広まってなかったし、季節になっても今ほどゴージャス商品や、大々的なチョコレート商戦はなかったと思う。バレンタインに小中学生がふつーに買うのは、某メーカーの薄っぺらいハート型のチョコ。確か100円くらいで安かったのだ。それでも…男子でないので良く分からないが、男の子はかなり意識してたかな。だからその時代にチョコを渡すのは、「渡す」というだけでかなり本命度が高かった。

バレンタインが近いある日、クラスの女子が「ねえ、カンパに協力してくれない?」と言ってきた。何のカンパかと聞くと、なんでも「クラスの女子からお金を集め、クラスの男子全員にチョコレートを送ろう」という企画らしいのだ。この季節には、もらえる男子ともらえない男子の間に「格差」が出来てしまう事は知ってたし、義理チョコの概念が確定してなかったとはいえ、友達複数に安いチョコをあげて人間関係良くする…くらいの事はあったから、私もあーいいヨと軽い気持ちでカンパに応じた。(100円くらいだったと思う(^^))漫画やアニメではしゃいでただけで、色恋沙汰にまったく疎かった当時の私には「お歳暮やお中元みたいなもんね」という感覚しかなかった。…そして、企画者はチョコを大量に買い込んできた。カンパが安かっただけあって、例のハート型チョコレート。

それから…どうしたのか知らない。私は企画にはタッチしてなかったので、その事件が起きるまでカンパの事なんて半分忘れていたのだ。バレンタインデー当日、それは起きた。気付くと教室中に大量の砕けたチョコが散らばっている。ゴミ箱に、机の下に、明らかに無茶苦茶に踏み付けられて粉になってる物も。今現在腹立たしげにチョコを攻撃してる男子もいる。…そう、プレゼントは完全拒否されていた。聞いてみると、企画者は普通に「これ、クラスの女子一同から」と言ってチョコを渡した訳ではなかった。ご丁寧にチョコ一つ一つに「○○くんへ。このチョコの事は誰にも言わないでね」という手紙を付けて机に入れておいたらしいのだ。…言わないでったって。近所の机で誰かがチョコを見つけたらすぐ分かるじゃん。その辺の詰めの甘さがまあ…中学生な訳だが、要するに男子はプレゼントを「全員が本命チョコのふりをしてからかわれた」と受け止めたのである。それが無闇な怒りを呼び、あの惨状になったという訳だ。…でも、当時の企画者のために弁明しておくと、彼女らは決して悪気はなかったと思う。悪気で金まで集めたり、面倒な手紙を一つ一つ書いたりするだろうか。(- -)

…以下は想像だが、「普通に渡しても、本気じゃないんだから喜ばないよね」「だったら本気っぽい手紙を付けよう」「でも、同じ手紙なら分かっちゃうじゃん」「『誰にも言わないで』って書いておけばいいのよ」…くらいなノリで、ともかくウケようと思ってこんな演出をしたのではないか。でも、その後このチョコ事件は禁句状態になり、誰も触れようとしなくなった。だから私も事態の詳細は知らないままだ。ただ、自分のカンパがあんな形になり、普通に食べればおいしいチョコが無残な姿になったのは、ちょっとやるせなかった。

それ以来、私は「チョコで愛情表現しよう」なんて考えは全く無くなった。(- -)そんなお菓子屋の陰謀に乗せられる事はないと。一応義理のある男子が群れている時、12個くらい入ってるチョコの箱を目の前で開けて、「はい義理。はい義理」と言って一同に配った事があるくらい。男性というのは、想像以上に繊細というか、考え過ぎる生き物だ…という事を学んだので、誤解を招くような事は極力したくないのだ。それでも今、連れ合いのやまくんは、本来甘い物大嫌いにも関わらず、バレンタインになると「チョコくれチョコくれ」と請求する。持ってないとその1日が無事に過ごせないかのように。たかがお菓子を「そこそこモテる、という身分証明書」にしてしまうのはいかがなものかなー。

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