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2011年2月13日 (日)

なんか安そうなインプラント…

やまくんが高校の頃の話だという。彼には兄がいて、この兄弟非常に性格の相性が悪かった。親やご近所には兄の方が可愛がられていたが、実は兄は弱くてズルくて、おやつは奪い取るわ、失敗は弟のせいにするわ。やま少年はいつもリスクを押し付けられていたらしい。しかし年少の悲しさ、兄は本来非力なのに、ケンカをするとやま少年はいつも兄にボコられていた。

そんなある日。朝目が覚めると、やま少年は顔に傷が出来ているのに気が付いた。深くはなく、引っかき傷のような物で特に痛くはないが、引っかいた覚えもないので不思議に思ったという。しかも1日でそれは消えてしまった。…そして翌朝。また引っかき傷が。別に猫も飼ってないし、夜中に兄貴が引っかいてる…訳でもないだろうなあ。そして1日が過ぎる。次の朝。またまた引っかき傷が。

結局、この日から1カ月ほど、彼の顔にはほぼ毎日引っかき傷が出来たのだ。場所は額、もしくは頬だったという。変ではあるが、だからって特に生活は影響はないし、防ごうにも寝てる間なので、いつ出来るのかも分からない。仕方ないからやま少年はそのまま普通に暮らしていた。…しかしある朝。目覚めるといつものように額に傷が出来おり、やま少年はふとそれを手で触った。そしたら、何かの物体が「ぽろっ」と額から落ちて来た。

それは、透明でツルッとした、長方形のプラ板のような破片だった。

…本当にプラスチックかどうかは分からない。何かそんなような物、としか言いようがない。しかも、それは額の傷から「生えて」出て来たように思えた。普通に考えて、人体からプラ板が生える事は有り得ないだろう。万が一あったとしても、額なんて肉はほぼないから、傷口のすぐ下は頭蓋骨のはずだ。骨から何か生えたりするだろうか。いや、むしろこれは今まで額の皮膚の中に埋まってたんじゃないのか。まさか…インプラント? その頃流行っていたUFOの話がやま少年の頭を過ぎる。宇宙人にさらわれた人間が、体内に何か埋め込まれ、記憶を消されて帰されるという、アレ。俺はいつの間にか宇宙人にさらわれていたんじゃないだろうか。でも、プラ板ぽい非伝導物質に情報を入れたり、通信したりできるんだろうか。… で、プラ板の謎は解けないまま、結局やま少年はその物質をゴミ箱に捨ててしまったという。そして、その日を境に顔に引っかき傷が付く現象はピタリと無くなった。

それからの彼の日常は…特に変化はなかった。ただ一つ、プラ板が出て以来、やま少年は今まで決して勝てなかった兄にケンカで勝てるようになったという。それ以来負け知らず。果たして宇宙人が「ようし、いじめられてる弟がケンカで勝てるよう、強くなるデータを彼の脳内に送るぞ!」…とインプラントを行い、役目を終えたプラ板が顔から出た…なんていう変な事件が起きたのか否か。それは誰にも分からない。

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