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2011年3月 9日 (水)

隠された怪談・殺風景な部屋

やまくん曰く。「…もう幽霊の体験なんてないからな!大体、俺はやばい場所に行くと変な緊張感みたいな感じがあるんだ。そんな感じがしたのは、あの九州のホテルと…大阪のホテルに泊まった時くらいで」

自ら墓穴を掘って暴露した。(^^)大阪のホテルに泊まった時、何かあったらしい。…問い詰めて聞き出したのが以下の話である。

やまくんサラリーマン時代。大阪に出張になった。地元の地理には明るくなかったので、ホテルは現地の業者に頼んで予約してもらったという。…たどり着いたホテルは、繁華街からは少々離れた場所にあった。見掛けは4~5階建ての普通のビルだが、入り口がなぜか通りに面してではなく、裏に付いている。

私「…それって変じゃない?」 やま「いや、そういうホテルもよくあるよ。雑居ビルの間なんかのやつに」 私「…そお。」

入ると、受付の女性はいやに無愛想。むしろ泊まるのが迷惑そうにさえ見える。しかも、そのホテルは「門限」があった。10時までに戻らないと入れてくれないというのだ。…でも、細かい事にはこだわらない大雑把な性格のやまくん、気にせず鍵を受け取って部屋に向かおうとした。フロントの横にエレベーターが… ない。あれ? フロントの横は階段になっていた。エレベーターはその奥である。まあいいや、2階だし、奥まで行くのも面倒だから階段で上がっちまえ。…という訳で、彼は歩いて2階へ向かった。

私「客商売なんだから、普通エレベーターの方が近くにあるでしょ。構造おかしいよ、そのホテル」 やま「そういう建物もあるって」 私「…そーかなあ」 

ほんとに、何の飾り気も愛想もない建物である。部屋に入ると…そこは、ただの四角い空間。壁は白っぽいだけ。窓はあるが、他には額もない。棚もない。作り付けの家具や構造物は一切無いのだ。入り口付近にかろうじてトイレがあるが、クローゼットはその横にポンと置かれた、ロッカーのような代物だ。風呂さえもない。入浴は大浴場に行かねば出来ないらしい。…何も無い部屋の真ん中にベッドがある。なぜかどの壁からも離して置かれている。ベッドの照明は、後から壁に取り付けた、勉強机なんかに使うアームライト。あとは天井に蛍光灯があるだけだ。

やま「…確かに、言われてみればホテルと言うより、病院みたいな作りだけど」 私「つーか、元病院だろそれ。後からちょこちょこっとホテルに改造しただけの」 やま「…かも知れん」

いや、寝るだけなんだしこんなもんだろ。大浴場まで行くのもかったるいので、彼は早々にベッドに潜り込んだ。…深夜。どこからか声がする。隣の部屋で誰か騒いでいるらしい。よく聞くと…それは口論だった。男と女が何か言い合いをしているのだ。しかもそれは延々と終わらない。いつまでも、離れている筈の壁を通過してベッドまで聞こえて来る。うーこれじゃ眠れないよ!…と布団を被ってぼやきつつも、基本寝付きが良く、一度眠ると中々起きないタチのやまくん、結局そのまま寝てしまった。…次の朝。さすがに苦情を言ってやろうと思い、やまくんはフロントの例の無愛想な受付に向かった。

やま「あの、昨日隣の部屋がやかましくて眠れなかったんですけど」 受「隣の部屋は誰も泊まってませんが」 やま「…はあ?」

じゃあ、一晩中響いてたあの声は?…そうか。客がいないので、従業員でも入り込んで話してたんだな。しょーがねえな。…そう結論付け、やまくんはホテルを後にした。世は全て事もなし。めでたしめでたし。

私「…ちょっと待ってよ。そのホテル門限があるんでしょ? つまり、夜になると従業員が帰っちゃうタイプのホテルでしょ?」 やま「そーだよ。夜、何か用事があったらブザーを押すんだ。それが詰め所みたいな部屋に繋がってて、そこに留守番が1人…」 私「じゃあ夜中に部屋に入り込んで話してた従業員って誰なのよ?」

…やまくん、それでも「気のせいだ気のせい!」で済ませようとする。私にはどーしても納得が行かない。

私「大体ホテルそのものが変過ぎるやん。門限があったり、客商売とは思えない構造だったり」 やま「だから多分、業者用の、関係者だけが泊まるホテルなんだよ。そーいうホテルはこんなもんなの。門限も、従業員が帰るのもよくあるの。北海道のホテルに泊まった時だってそうだったし」 私「…北海道?」

そりゃ北海道とか、この辺(千葉)のド田舎ならあるかも知れない。でもあんたが泊まったのは「大阪のホテル」でしょ。いくら繁華街の外れだって、外は町並みだし、そこまでするほど夜中人がいなくなる訳じゃないでしょ。…でも、やまくんはこういう事は「気のせい」だと思わないとやってられないらしい。(- -)まーそうだろうな。だから、これ以上は詮索しないでおこうかと思うのだが… ただ一つ。彼はこの話をする前に、すでにそこで「やばい場所で感じる緊張感」を感じた、と言っちゃってるのである。直感には素直に従った方がいいと思うよ。従いたくても逃げられない事だってあるだろうけど…

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