無敵タケノコとの出会い。
これは…田舎ならどこにでもある、平凡なネタだと思うんだ。しかし連れ合いのやまくんが「絶対に平凡じゃない」と言い張るので一応書いてみる。
小学1年。田舎に預けられていた頃。娯楽施設も何もないが、自然だけは豊かだったのでよく意味もなくその辺を走り回って遊んでいた。近所の子供は…やや年長だったし、私と違って地元民だから、虫捕りも川遊びもうまい。しかし私にはオニヤンマもチョウチョもセミも高嶺の花。(^^)どんくさいオハグロトンボ、ミミズ、カエル、羽化し損ねたセミの幼虫(たまにいた)なんかを相手に、1人で遊ぶことが多かった。だから今でも長いものは平気である。あとは…採っても逃げない植物。笹舟、ひっつきむし(正式名称はオナモミ)、スギナを抜いて「どこ繋いだ」…たまにカタクリの花もあったな。まあそんな訳で、面白い植物を探して、何もない藪の中なんかに1人で入り込んだりしてた訳だ。
ある時、どこかのおっさんに突然「こらー!」と怒鳴られた。そんな事は初めてだ。
あわてて逃げ出し…後で大人の話を聞いたら、「そこは人の土地だから」と言われた。えっ、土地には持ち主がいるの?…何をしても自由だと思ってた大自然に、所有者がいる事を初めて知った。どうやら竹薮でタケノコが取れるので、泥棒かイタズラに来たと思われたらしい。…しょんぼりである。しかし、うちの一族所有の竹林もある。そこでタケノコを採る分には文句は言われないという。これは行かねば!…という訳で、タケノコ採りの日、大人たちと一緒に深い竹林の奥に向かった。その時に目撃した…んだと思うんだな。別の時だったかも知れないが、普段通らない道だったから。マクラが長くてすいません。<(_ _)>
竹林の中を見て驚嘆した。それまでタケノコというのは全て、あのほら貝みたいな円錐形だと思っていた。それはまだ「芽を出した」ばかりのやつ。…出た芽は育つ。育ち過ぎたタケノコを、その時初めて見たのだ。それは天辺だけ尖った、定規線のような真っ直ぐの筒だ。無論あのタケノコの皮はしっかり被ったまま、2m3mシュイーンと地面から突き出している。…こええ。ほとんど槍。これでもタケノコなのか。そして、それが槍と同じように凶器である証拠を別の場所で見た。
…道の片側の藪の中。廃屋があった。なんでそんな藪に?と思うが、元は藪じゃなかったのかも知れない。ともあれすでに草に覆われ、道側の壁だか障子はなくなって、家の中が丸見えになった状態の旧家屋。その部屋の中を、床から天井まで「槍タケノコ」がズボ、ズボと数本貫いているのだ。…もちろん人が居なくなり、後に家屋の下の地面から生えてきた…んだと思うんだが、どう見ても「タケノコに貫かれて滅んだ家」にしか見えなかった。植物って、動かないだけで実はえげつない力を持っている。私は感動した。(^^)そしてそれ以来、タケノコを心の師として尊敬するまでになった。
その後。まだ小学生。漫画を描いていた。野原を走っている女の子を描いた後…少し考え、彼女の走っている地面を指して矢印を引き、「だれのものでもない土地」と記入した。(^^)無闇に他人の土地を走り回ると、タケノコに怒られるかも知れないからである。
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