四国のダブルコラボ怨霊!
これは、やまくんが前の会社の先輩に聞いた話。本人の体験ではないが、あまりにショーゲキ的なお化け話なので、ぜひ記録しておきたい。(^^)
仮に、その人の名前をTさんとしよう。Tさんは、大学の卒業旅行で友人2、3人と四国に行く事にした。しかも自転車で。Tさんの自宅は神奈川辺りだからかなりの距離だ。海はフェリーで渡る。…若いから元気なんだな。(^^)その時代は自転車で全国を旅するのが流行ってたそうだ。何週間もかけ、自転車こぎこぎ、四国のあちこちの観光名所を回り、旅もそろそろ終わりに近付いていた時の事だ。
Tさんたちがとある海辺にたどり着いた時、日が暮れ始めた。見回したが、あたりには旅館も、民家すらない。今晩はどこに泊まろう?今から海辺を離れ、宿泊先を探すのは大変すぎる。…しばらく相談した結果、「海辺の適当な所で寝ればいーじゃん」という話になった。その海岸は岩浜で、あたりにはボコボコと大きな岩が突き出している。ついでに大きな洞穴もたくさんある。中には、人間数人くらい充分に寝られるスペースがあるのだ。寝袋は持ってるし、男同士のゴロ寝だから細かい事は気にしない。Tさんと仲間たちは、洞穴の中でもひときわ広く、居心地の良さそうな穴を見つけてそこに潜り込んだ。穴は深く、更に奥へと続いているようだったが、もちろんそんな奥までは入らない。海の見える入り口付近に陣取る。…さて寝る準備は整えたが、さすがに環境が違うせいか中々寝付けない。彼らはしばらくボソボソと話をていたが、やがて眠気が襲い、全員眠ってしまった。もう深夜になっていただろう。
…やがて、Tさんは何故かふっと目が覚めてしまった。もう一度寝ようと思うが、今度は寝付けない。仕方ない、海を眺めてタバコでも一服する事にした。洞穴からは海がそのまま見渡せる。これがホテルなら、海の眺望付きのいい部屋って事になるだろうな。(^^)…あれ? 海を眺めていると、波の音に混じって何か「ざわざわ…ざわざわ…」という妙な音が聞こえる。明らかに波の音とは別だ。Tさんは始めは「何かな~」というくらいで、そんなに気にしてはいなかった。…だが、やがてそれは音だけではなくなった。ざわめきと共に、何か黒く丸い物が波間に現れるのが見えたのだ。どうやら人の頭らしい。始めは1つ2つ、そして、数はだんだんと増えていく。それでもTさんは「え…こんな夜中に泳いでる連中がいるのか?」としか思わなかった。
黒い頭は、時間と共に徐々にその全身を現していく。数も、始めは数個だったものが、気が付けば何十体にも増えている。彼らは…ゆっくりとこちらに近付いて来ているのだ。ええっ!そ、そんなもの泳いでる普通の人間の筈ないじゃーないか!大体遠浅の砂浜じゃないんだから、海は深く、彼らの足元に歩ける海底がある訳がない。あたふたし始めたTさんを無視し、黒い人影はなおも近付いて来る。やがて、月明かりでそいつらの正体が見え始めた。それは…全員軍服を着た日本兵だったのだ!…「うぎゃーっ!」 Tさんは絶叫し、友達を揺り起こす。「これはやばい!」「逃げた方がいいんじゃないのか」…彼らは取り合えず洞穴の奥へと潜り込む事にした。真っ暗な穴の中を、懐中電灯の光でゴソゴソ進んでいく。すると。その奥から、誰が見ても「落武者」だと分かる、鎧を着けた男がこちらに向かって進んで来るのだ。うわーーっ前は落武者、後ろは日本兵!究極の怨霊タッグ!…どうやって脱出したものか、Tさんたちは転がるように洞穴から出て、岩をよじ登って浜に戻り、ひたすら走り続けた。
次の日。夜が明けてから、Tさんたちはあの洞穴に戻り、置いてきた荷物を回収した。後で地元の爺さんに聞いた話によると、昔その浜で輸送船が沈められたんだという。鎧武者の方はずっと前、このあたりが古戦場だった時代のものらしい。Tさんたちは知らなかったが、その洞穴は「出る」というので地元では有名なスポットだったようだ。(- -)…まあ日本中どこでも大抵は古戦場だし、戦争の傷跡もあるんだけどな。やたら変な場所で眠るのは危ないよ、というお話でした。
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