WITをよろしく その2
WITはジャズバンドである。(多分)リーダーは中村孝成という。大学生。天才アルトサックス奏者。性格は温和。争いを嫌うが、ごく稀に激昂する。大自然と紅茶が好き。大抵音楽の事しか考えてないので世事にうとく、一般常識にズボッと抜けている部分がある。…そういう設定である。彼はもちろん私の創造した、架空の人物である。というか作者の一種の理想像だ。描きたかった漫画の主要登場人物で、シナリオは何年も前に完成しているのだが…どうしても世の中に受け入れられない感じがして、中々描けないでいた。ネットにキャラ画像やあらすじは上げてあるんだが。そうこうしているうちに時代はどんどん変わっていった。子供がジャズやる映画が出て、何とかいう音楽漫画(これだけ流行ってるのに一切見てない(^^))が世の中に出て、今から出したらマネだと思われるかも、私の方がずっと前なのにぃ…などとホゾを噛んでいた。どうしても、自分のレベルが孝成に届かない面もあった。理想像過ぎて、描く自信が足りないというか。
WITのメンバーは孝成と同じ大学のジャズ研。江田はトランペット奏者で、孝成の高校からの腐れ縁の親友。ピアノ三田村は、不条理な展開をする孝成のメロディをまとめるアレンジャーで、あるいは孝成より天才かも知れない。愛宕と稀は大学からの付き合いで、どっちもマイペースな変人。稀はベースからクラシックギターまでこなす。彼らはどんなに欲しくても得られなかった、私の架空の音楽仲間だ。「じゃず」の譜面を書く才能なんか私にはない。今「WITの曲」として作っているのは、キャラクターから「孝成ならどういう旋律を作るか」「三田村はどうアレンジするか」と想像して初めて出来たもので、いわば「なりきり効果」の産物だ。だが、何と言っても現実に譜面を書くのは私でしかない。悲しいかなどうしても上限がある。想像の中の孝成はもっと天才なのに!と常に悩んでいる。でも…今までの作曲と違い、「また作っても誰も聴いてくれない」という孤独感からは少し解放された。たとえ架空でも仲間がいるから。
そんな訳で、今まで作ったジャズ「風」をまとめて「WIT」のアルバムを作る事にした。あくまでも実在のバンドとして。曲というより、私は人物そのものをこの世に存在させたい。自分はプロデューサーのつもりで。だからラベルにも「ハイパーリアル・メンバーの写真のようなイラスト」を描く予定なんだけど… 写真のような絵って難しくてね。今何で悩んでいるかというと、譜面でなくて実はそのイラストだったりする。(^^;)困ったもんだ。ともあれ、もし無事に完成したら、どうかWITをよろしく。
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